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Classical guitar
クラシックギターについて
クラシックギターは身近な楽器ですが、とても奥が深く、多彩なジャンルで楽しまれている楽器です。
現在ではクラシック、フラメンコ、ボサノヴァ、ジャズ、フォルクローレ、歌謡曲などいろいろなジャンルで使用されています。
その楽器としての能力は非常に高いものがあります。それは一本でメロディも伴奏も同時に奏でることができるという完全な独奏楽器としての機能にほかなりません。また和音楽器である事から伴奏楽器として、そして二重奏、三重奏、それ以上のアンサンブルなどでも活躍できる楽器です。
現在では幼児、学童期の音楽教育としてクラシックギターを選択するご家庭も増えており、今後のクラシックギター界のますますの発展が期待されています。

「ギターを弾く女」
ヨハネス・フェルメール(1632〜1675)オランダ
クラシックギターの歴史(概略)
ギターの歴史は古く、ギターの祖先にあたる弦楽器のルーツは紀元前に遡ります。時を経てギターの前身は中近東でさまざまな形態を経てリュートという楽器になり、8世紀初頭にムーア人のイベリア半島への侵攻によってヨーロッパにリュートがもたらされて以来、その派生として長らくビウエラやルネサンスギター、バロックギターという楽器の時期があります。
その後ギターは18世紀末から19世紀初頭の古典派時代に「ギターの黄金期」と言われる時期を迎えます。その頃に使われていた楽器を古典ギターと呼びます。
古典ギターは現在のギターの基本となるもので、19世紀後半に変革が加えられ、現代のギターとして確立しました。
Mandolin
マンドリンについて
マンドリンは19世紀から20世紀にイタリアで栄えた楽器です。
ギターと同じくフレットを持つ楽器で、基本的には旋律楽器ですが、現在ではソロ演奏のほか、特に高校、大学、社会人団体においてマンドリン、マンドラ、マンドセロ、ギターなどの編成による合奏で用いられることが多い楽器です。
ギターと同じように、左手で押さえる指板にフレットがありますので、初心者にも入りやすく正しい音程で易しく弾ける弦楽器ですが、やはり基本から学ぶことが上達の早道です。
世界的に見ても日本が最もマンドリン音楽が盛んな国と言われています。

「マンドリンを持ったイタリア人」
ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825〜1905)フランス
マンドリンの歴史(概略)
マンドリンのルーツは古代ペルシャに始まり、中近東で誕生したリュートから派生して、ギターと同じようにイスラム勢力のイベリア半島への侵攻によってヨーロッパに渡り、17世紀初頭にイタリアで、リュート族のマンドウラという楽器から高い音を出すために小型化して生まれました。
18世紀にはヴィヴァルディやモーツァルト、ベートーヴェンもマンドリンのための作品を作っています。
19世紀中頃にはイタリアのパスクアーレ・ヴィナッチャ(1808?〜1882)が機械式糸巻きを用いて鉄弦を張る楽器を製作して、20世紀の初頭にかけてヨーロッパを中心に全盛期を迎えます。
日本では明治30年代にイタリアから輸入され、現在ではマンドリン人口がもっとも多い国のひとつだと言われています。
Lute
リュートについて
中世からルネッサンス、バロック期とヨーロッパで流行した撥弦楽器です。
胴がマンドリンの様に丸く、急角度で後方へ折れ曲がった頭部、表面板の共鳴孔にはロゼッタと呼ばれる精緻な透かし細工が施され、目にも優雅で美しい楽器です。
複弦(2本で一対) 5コース(列) のリュートや、6コース、また時代を経て付加弦を持つ10〜14コースの楽器もあり、時代の変遷と共に多くの種が生まれました。
現代ではなかなか実際に触れる機会が少なくなりましたが、多くの宗教画の中や、フェルメールの『リュートを調弦する女』などの美術作品等で目にした事がある方も多いのではないでしょうか?
演奏スタイルは、独奏から歌曲・器楽伴奏、室内楽、オペラやオーケストラ(通奏低音)に至るまで幅広く、当時の音楽を知る上で欠かせない楽器の一つです。

「音楽の寓意」
ローラン・ド・ラ・イール (1606〜1656年)フランス
リュートの歴史(概略)
リュートの起源には諸説ありますが、古代ササン朝ペルシャで栄えたウード(木を意味する)という楽器が起源といわれています。アラビアンナイトの世界で輝いたウードは紀元8世紀ころイスラム勢力が北アフリカを経て、イベリア半島ウマイヤ朝に迎えられたことによりヨーロッパに伝わりました。そこからリュートへと派生してゆきます。一方、ウードは東方にも伝わり中国、モンゴル、そして日本に渡って琵琶となりました。
15世紀から17世紀頃、リュートはヨーロッパ各地で作曲家や製作家も数多く誕生し、宮廷音楽を中心に盛んに用いられ隆盛を極めます。その後、バロック時代になると弦の数も多くなりバッハの時代まで用いられました。その後18世紀に入ってギターやマンドリンにとって代わられ、しばらく忘れられた存在となりましたが、20世紀に入って古楽器の研究により復興の機運が高まり、現在では相当数の演奏家や愛好家が定着しています。
尚、リュート族にはルネサンス・リュート、バロック・リュート、テオルボ(イタリアン、イングリッシュ、ジャーマン)、アーチリュートなどがあります。